AKATSUKI FIVE 男子日本代表が格上トルコに挑んだ「FIBAワールドカップ2019」開幕戦は67-86と19点差で敗れ、完敗に終わりました。「立ち上がりはいつもタフですが、ワールドカップの舞台はトルコの方が経験豊富な選手が多く、その差で最初に引き離されてしまいました」と渡邊雄太選手は敗因を挙げます。比江島慎選手(宇都宮ブレックス)は「ワールドカップは独特な緊張感があり、そこに自分ものまれてしまった部分もありました。相手の方が経験が豊富な分、落ち着いてプレーしていたところの差があったと思います」。田中大貴選手(アルバルク東京)も「言い訳になってしまいますが、経験の差はあると思います」と話しており、他の選手たちも同様に『経験の差』を痛感する開幕戦でした。
ロスター12人中、2006年に日本で開催された世界選手権に出場したのは竹内公輔選手(宇都宮ブレックス)と竹内譲次選手(アルバルク東京)のみ。2016年に行われたFIBA男子オリンピック世界最終予選ではラトビア(●48-88)、そして次戦の相手であるチェコ(●71-87)との真剣勝負を経験したのは、先に挙げた二人とともに比江島選手と渡邊選手、たった4人しかいません。
勝ち点で順位を決める予選ラウンドゆえに、1点の重みは大きくなります。その戦い方を熟知するトルコはセーフティーリードにも関わらず、ゲームを流すことなく、ニック・ファジーカス選手(川崎ブレイブサンダース)が外したボールを拾い、残り5.7秒から一気に攻め込んでダメ押しとなる86点目を挙げました。さらに残り1.2秒、田中選手が受けたボールに対しても2人がマークにつき、失点の可能性を消したあたりは試合巧者であり、経験の差が伺えます。
その状況下でも、「それで済ませて良い場所ではない」という竹内譲次選手(アルバルク東京)。「経験がない中でも自分たちの力を出そうとしなければいけません。年齢を重ねているから経験があるわけではなく、パフォーマンスの出し方もこのような舞台でしか学ぶこともできません。そこはアメリカで活躍する雄太や(八村)塁の方が豊富です。個人個人が受け身になることなく、もっと積極的にやることが必要です」
フリオ・ラマスヘッドコーチは言います。「全ての試合において、我々は学ぶことばかりです。レベルが高く、強いチームばかりのグループですが、常にチャレンジをしていくだけです。この経験は、私たちにとって素晴らしい糧になっています」というのが、日本の現状です。選手たちは自らのプレーを全て出し尽くし、それでも通用しない現状を打破するきっかけをつかむことが大切です。
シューターの安藤周人選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)は3本の3Pシュートチャンスを作りましたが、すべて外れました。普段であれば打てるタイミングでしたが、2mを超える相手が手を伸ばしてくることで、「迷いながらプレーしてしまっていました」と振り返ります。しかし、立ち塞がる壁に対し、「楽しかったです」と笑顔を見せた安藤選手。「自分のプレーは散々でしたが、こうして世界を肌で感じられる機会を得られたからこそ、この試合の経験を生かして次につなげたいです」と話すとおり、顔を上げて前に進むしかありません。
FIBAワールドカップへの切符を勝ち獲った2月末時点では、2020年東京オリンピックへの出場はまだ決まってませんでした。しかし、3月31日に開催国枠での出場権を獲得した今、この大舞台は未来を見据えた強化の場でもあります。もちろん、勝利こそが成長への近道であり、持てる力を発揮するだけです。予選ラウンド最終戦には、世界1位のアメリカ戦が待っており、否が応でも世界との差を実感できるチャンスです。
NBAのスター選手が不在であり、昨日はじめて試合会場での練習を行ったばかりにも関わらず、アメリカが88-67でチェコを圧倒しました。次戦、互いにワールドカップでの初勝利を目指す日本vsチェコ戦は日本時間9月3日(火)17:30よりティップオフ。この試合はBSフジ、CSフジテレビNEXT、DAZNにて生中継されます。現地にも多くのファンがお越しいただき、選手たちを後押しする声援はとても心強いです。日本一丸となり、今大会初勝利とともに、悲願のヨーロッパ勢から初白星を奪いにいきます。